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【読み物】「憂鬱の森に咲く少女」

※この物語はフィクションです、登場する人物名・団体名は(ry 
※ふと思い立って始めてみたけど、想いを物語りに書き起こすって難しい・・・

あの日の出来事を彼女達は知らない。

彼女達は今、どうしているだろうか。

今も僕のことを覚えていてくれるだろうか。

僕は今、都立島崎病院の精神科に入院している。面会謝絶のいわゆる「隔離病棟」だ。
ここには「自由」は無い、しかしそれ故に無限の『自由』が与えられている。
それは、鳥カゴの鳥。檻の中のライオン。
そういったものと同じで、管理されているが故に死や飢えの危険とは無縁であるという『自由』だ。
 
日付など分からない、ただ日が昇り・日が沈んでいく。そんな世界で僕は生きている。
あれから何日が経ったのだろう、夏の日照りが続き、巷では水不足さえ心配されていたが、
今日はそんな中珍しく雨が降っている。

「僕が入院してから何日が経ちましたか」
 思い切って医師にそんなことを聞いてみた。

医師はにっこりと微笑み、こう答えた。
「君が入院してきたのが確か八月の九日だったから、今日で丁度十日だね。」
あれから、もう十日も経ったのか…。
この「檻」の中での生活は、退屈ではあるが、今までの生きてきた道のりを振り返るには十分過ぎる時間だ。
過去を清算するには勇気がいる。今まで犯してきた罪の数々に向き合わなければならない。時を止めて無限に考える時間が与えられた今となっては、こんなに都合の良い場所は無いとすら思える。
医師が、鉄格子のついた小窓から薬の入った水を差し入れる。
「この中に今日の分の薬を入れておいたから、ちゃんと飲んでおいてね。」
彼の名は岡部という。私の担当医だそうだが、二日に一度程度しか顔を出さない。普段私の世話をしてくれるのは、西田という看護婦だ。
「あれから大分落ち着いたかな?相変わらず口数は少ないみたいだけれど。」
彼に話せることは多くない。
僕の抱えていた悩みというのは、ほとんどが自業自得のものだ。叶わない想い、叶えたい願い、そんなものが高く積みあがり、私の世界と現実の世界との間に大きなミゾが生じてしまっただけのこと。
「そろそろ、退屈してきた頃です。」
 そんなことを口に出してみた。
「そうか、昨日までの容態を見ると安定してきているようだし、そろそろ相部屋に移ってもいいかもしれないね。」
「相部屋ですか…」
 僕にも少なからず「精神病患者」に対する偏見がある。この隔離病棟に居ながらにしても隣室などからの呻き声や、鉄格子ごしに垣間見える醜態、そんなものを目にしてきた。
そもそも、僕はここから出たいのだろうか。
僕の知らない場所で世界は回っている。
僕などいなくても、この星には何の影響もない。
僕だけの世界が、今ここにある。
それだけで、十分だった。
「向こうに行けば、面会とかも出来るから。
ほら…、ご両親も心配しているんだよ。」
「分かりました。お任せします。」
あっさりと返事をした。
夢からはいつか醒めなくてはいけない。
僕は一人では生きていくことは出来ない。
そんな覚悟をすれば、我侭の一つすら言えなかった。

僕の移されたのは四人部屋の病室だった。しかし、そこには一人の老人がいるのみで残りのベッドは空いていた。
老人は手足を黒色のベルトで縛られ、ただ呆然と虚空を見上げていた。
また、僕と同年代くらいの少年はリノリウムの廊下をただゆっくりと何度も往復を繰り返し、彷徨っていた。
自分の置かれた「現実」というのを思い知る瞬間だった。
ただ、中には僕の話しかけやすい人もいた。診察室の前の待合椅子に腰掛け、「機械戦士ガムタン」の小説を読んでいるお兄さんがいた。20歳くらいだろうか。
「お、ふふ、み、見慣れない顔だね。き、君も読むかい?ふふ。」
「あ、いえ、僕は戦争モノとかあんまり好きじゃないんで…。」
人と人はいつも争う。戦争をして殺しあう。奪い合う。自分が幸せになろうと抗う。きっとそういった数々にうんざりしていたんだろう。
「未来には、戦争とかそんなものナンセンスだと思うんですよ。もう少し平和的なノリに出来ないんですか。」
「え、いや、でもほら、ガムタンは確かに兵器だけどね、ちゃんと愛とかそういうことも、え、描かれてるんだよ?この、ほら、このページがヒロインの…」
「はぁ…」
そんなとりとめも無いやりとりが繰り返されたのが、この病棟での日々。少なくとも、隔離病棟にいるよりは退屈しない。
「宗一君、面会の子が来てるよ。」
そうして三日が経ったある日、平穏を打ち壊すように、「彼女」がやってきた。看護婦さんが連れてきたのは、黒髪を後ろでポニーテールにした女の子。
「宗一!久しぶり!大丈夫?!元気にしてる?!なんか痩せてない?なんか髪ぐしゃぐしゃ、ほらお菓子持って来たんだよ、一緒に食べようよ!」
一気にまくしたてた彼女に、僕は呆気に取られた。
「あ、うん。えっと、その…
 わざわざ来てくれてありがとう…ございます。その…ごめん。」
 とっさに僕は謝った。
「え、宗一、何で謝るの?あの日のことなら気にしなくていいよ、宗一も頑張ってたの知ってるし、うん、ちょっとお互い勘違いしてたのかもしれないけど、もうあのことなら大丈夫だから、うん。」
僕は、次の言葉に困った…。

何故なら、僕は、彼女のことを
覚えていないのだから…

 帰り際、彼女の泣き顔を見た。
ポツンと面会室のテーブルに置かれたお菓子を眺め、自分という存在について呆然と考え込んでいた。
彼女を悲しませているのは、間違いなく僕が原因だ。
しかし、僕には何も出来ない。何を話していいのか、何を話してはいけないのかすら分からない。
僕はただ、ただ、彼女に謝るしか無かった。

翌日、僕は医師の診断を受けた。
「統合失調症」に加え、断片的な「記憶障害」と診断された。
この病名がどんな意味を持つのか、僕は医者では無いのでよく知らない。
ただ、自分が「普通の人間とは違う」というレッテルを貼られたようでなんとなく悔しかった。
 


【気が向いたら続き書きます(笑】

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